145715 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

:::Nebula†Garden…ホガラカDiary:::

◆トロケルジカン


【二次創作書庫…ikki*shun】

...トロケルジカン...ikki*shun


  部屋の隅に置かれた小型の冷蔵庫から、一輝は巾着風に絞られた袋を取り出した。
 瞬が好んで食べているヨーロッパの菓子は、ブルーの長細い袋の中に詰め込まれたアイス・チョコレートだ。
 いくら疲れが溜まっているからとはいえ、こんなものを食べたくなるのは一輝にしては珍しい事だった。
 カラフルな包みの中からひとつを選び、あまり可愛いとも思えないキャラクターが印刷された個装をはがす。
 「ふん…?」
 口に放り込んで即座に後悔が走った。
 「ただいま~…?…兄さん、どうしたの?」
 学校から戻った瞬が、冷蔵庫の前で固まる後姿を怪訝に思い声をかけると、 兄は苦しそうに眉間を押さえ、
 無言で手招き瞬を呼んだ。
 「大丈夫?」
 学生鞄をソファに投げ出し、小走りに駆け寄る。
 一輝は縋るように瞬の肩に手を掛け、ふいに苦痛に歪む顔を近付けた。
 「兄さ……ん…ーっ☆」
 いきなり唇を押し付けられ、こじ開けられ、驚いている間に舌の上にトロリと馴染みのある
 甘い香りが残された。
 「…チョコ…」
 瞬が好物を味わっている傍らで、一輝はガブガブとミネラルウォーターを飲み干していた。
 「ね、何やってるの?」
 「お前、よくもそんな恐ろしいものを美味そうに食えるな…。」
 手の甲で唇の水を拭いながら、一輝は消耗した様子で呟いた。
 「恐ろしいって;美味しいよ。だいたいそんなに甘くもないし。」
 「嘘をつけっ!口が曲がりそうだぞ!!」
 制服のブレザーを脱ぎながらクローゼットに向かう瞬に一輝は訴える。
 「もうっ!文句言うんだったら僕のおやつ、くすねないでよね#」
 服を着替えながら瞬も応戦した。
 ローゲージのタートルセーターにブーツカットスリムのジーンズ。
 ラフな服装で戻った瞬は、冷蔵庫の上に置きっ放しだったチョコを取りあげて戸口に向かう。
 「氷河と一緒に食べよ~」
 「何だと?」
 「だって、嫌いなんでしょ?兄さんはドリンク剤でもがぶ飲みしてればいいんだよ。じゃあね~」
 止める間もなく、気持ち乱暴に扉が閉められた。
 何をそんなに怒っているんだ? わけが分からず、数秒、一輝は樫の木目を凝視した後、
 自らも部屋を出た。
 「甘いのはちょっと…。」
 「ええーっ!」
 扉の間から会話が漏れ聞こえる。
 ドリンク剤に頼るという弟の忠告を悔しくも受け入れた一輝だったが、チョコを拒絶されている瞬に
 「それみたことか」と、ひとりほくそ笑み、コンビ二に向うのだった。

 =END=

[2006/02/19]...by.che*myun

next......after >>



...トロケルジカン...
+Web clap & message+


INDEX












© Rakuten Group, Inc.